はてな年間100冊読書クラブ 3冊終了

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

私的には宮部みゆき一冊目。現在映画上映中とか。


親の不倫を引き金に現実に絶望した少年が、ふとしたはずみで異世界に旅立つ。
獣人や人間と出会い、冒険を通じて主人公自体が成長する。
差別問題や不倫など自分ひとりではどうしようもない理不尽な事へ考えることにより、自分の中の正義というものを見つめなおす。
ほぼ、同じ環境で現実社会に絶望したライバルに対しても、自分の幸福のために、ヒトを犠牲にするのは正しいことではないと反発し、自分も人も幸せに生きれる道を探そうとする。
最後には、自分の弱さをみとめ、それでもやはり生きていくということは楽しいことがまっているということを示唆してハッピーエンドとなる。


どちらかといえば、低年齢層向きで、主人公もかっこいいというよりも共感できることを前提に書き進められている印象を受けた。私自身がこの年齢層であったならば、共感でき毎日工事中のビルを探しにいっていたかもしれない。また、父親の不倫という問題に対して主人公がどういう風に現実を受容していくかという心の動きが詳細に描写されており、異世界にいき冒険をすすめているところよりも、異世界に行く前のほうが楽しめた。ターゲットの年齢層もあるのか、恋愛要素はあまり濃くなく、ちょっと気になる程度で終わっているのだが、現実社会のヒロイン?にあこがれる理由の描写がうすかったように思う。ただの一目ぼれであったのかもしれないが。


少し、前半の密度に比べ、後ろのほうに行くに従って加速していったように思え、エンディング自体も完全なハッピーエンドとは言えないのは、少し残念に感じる。教科書どおりのヒロイックファンタジーとはいえないが、ファンタジー系の話に抵抗がなければ、少年の感性を持つ人には十分楽しめるのではないだろうか。